第2回 世田谷区認知症カフェ、介護者の会・家族会 オンライン情報交換会を開催しました!

2021年1月18日

2020年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、認知症カフェや介護者の会・家族会が今まで通り開催できなくなっています。その中でも、運営者の皆さんは、世田谷での「居場所」をなんとか継続できないかと頑張っています。

しかし、思うように再開ができず、開催できたしても「感染予防対策は講じているが、このまま開催して良いだろうか?」「今まで通りには再開できていないが、認知症カフェと呼べるのだろうか?」など日々迷っているという声が聞こえてきます。

私たち、認知症在宅生活サポートセンターは、認知症カフェや介護者の会・家族会のあり方について、これからどのようにすればよいのか、運営者同士が情報交換できる場を作りたいと考えて、令和2年12月16日木曜日にオンライン情報交換会を開催しました。

当日は、認知症カフェ12団体、介護者の会・家族会11団体の合計23団体25名の参加となりました。

Zoomを使用したオンライン情報交換会は、運営スタッフもまだまだ不慣れで、参加者の皆さんにもご協力いただきながら、第2回目も最後まで運営することができました。この場を借りてお礼申し上げます。

今回のオンライン情報交換会では、これからの認知症カフェ、介護者の会・家族会について考えるヒントになればと、ゲストスピーカーからお話を伺う時間を設けました。お話をいただいたお二人をご紹介します。

●若年性認知症の家族会「彩星の会(ほしの会)」 代表 森 義弘さん

「Webサロン」をいち早く取り入れ、現在開催が50回を超えています。Webサロン参加の感想やオンライン導入についてお話を伺いました。

https://hoshinokai.org/ 彩星の会のホームページでは動画メッセージが配信されていますので、是非ご覧ください。

【オンラインに変更しても開催しようと思った理由】

外出自粛要請期間中に「仲間と繋がるためにやってみよう。」と世話人の一人が声をあげたことがきっかけです。多くの介護者が毎日の大変な出来事や思いを持って参加されます。その思いをオンラインでどんどんだしてもらえば、定例会で話していることと近いのではないかということで始めました。その結果、開催は51回、参加者は延615名となり、非常に喜んでもらっています。

【開催してみて良かったこと】

映像を通してでも、リアルタイムに仲間の元気な表情を観ながら話ができたことです。 遠方に住んでいる方、介護等で外出することが困難な家族にとって、とても有効なコミュニケーションツールであると感じています。

【開催において苦労したこと】

Zoom を使ったことが無く、YouTube などで操作方法を学習し、3、4人の世話人で少しずつ使い方の試行を繰り返しました。Webの世話人会に10人参加できるまでに14回試行会議を行ないました。トライ&エラーの繰り返しでしたが、とにかく動き出せば何とかなります。

問題は、参加できない人をどうしたらいいかということです。会員の70~80%の人が参加できていません。参加できていない方には、時おり、個別に電話を入れています。「お元気ですか?」と声をかけるだけでも、非常に喜ばれます。

【これからオンラインをやってみたいと思っている運営スタッフへ一言 】

外出が困難な状況や家族にとってオンラインミーティングは非常に有効な手段になりますが、オンラインミーティングができない会員の方々に対するフォローは不可欠であると感じています。とにかく動き出してみることだと思います。

Q&A

・対面形式からZoomに切り替えて内容はどのように変わりましたか?

対面の時と同じように、日頃の思いや考えを全部話してもらい、お互い意見が飛びあって、顔が見えて、声が聴けて、内容は変わらないと思います。非常にいいツールです。ただ、一人の話の時間が伸びてしまい、話す人が決まってきてしまうことが問題です。そこで、世話人がうまく配分する役割をしています。回数を重ねるにつれて、時間配分もうまくなってきて、話せる人が増えてきました。

新たな取り組みとして、毎月第1土曜日は、お酒を飲みながら話ができるようにしてみました。飲んでいるお酒を見せながら、別の雰囲気でつながりができて、とても良いと感じています。

・新しくスマートフォンやパソコンを買った方はいますか?

新しく買ったという方はいませんでした。持っていたが使い方が分からない、という方が、参加するようになりました。

●コスガ聡一さん(フォトグラファー・ジャーナリスト)


https://nakamaaru.asahi.com/series/11016896

ウェブメディア『なかまぁる』(朝日新聞社)にて「コッシーのカフェ散歩」を担当し、全国の認知症カフェを取材されています。世田谷区では、「オレンジカフェKIMAMA」、「せたカフェpresents認知症カフェ」が紹介されています。全国の認知症カフェを見て感じたことについてお話を伺いました。

【認知症カフェの今までの枠組みを外してみる】

コロナ下において、見守りの体制や人との交流、外出の機会が少なくなっています。認知症カフェのような場がどんな形であっても、必要な場所となっています。従来の、室内で公共の場で2時間、月1回という開催のイメージを、いったん脇に置いて、今できることを考えてみましょう。手紙や電話のやりとり、手作りの新聞での情報共有、オンラインなど、そういった取り組みを積極的に行うこと、つながりを少しでも持ち続けていけることではないかと感じています。

【外で集まってみる】

施設の玄関先で野菜の即売会のようなものを開いて、買いに来た方と一言二言話す。そこから困ったことがあれば踏み込んでいくようなやり方をしている所もあります。今はアレンジや創意工夫が求められています。

【これからの認知症カフェが目指していくところ】

グループホームや老人ホームなど入居者がいる施設の一部を利用しているカフェや施設のスタッフが深く関わるカフェは感染拡大防止の点から、再開が難しいことがわかってきています。場所の確保ができ、スタッフが関わることができるカフェが、積極的に再開を目指して、そこにいろんな方が、入れ替わり、参加してしてもらえるような形になっていくといいと感じています。交流しながら参加することを目指していくと良いのではないか。

【世田谷区の運営スタッフの皆さんへ 】

世田谷区は条例制定がされ、全国からも注目されています。東京都の感染者数をみるととても困難な状況ですが、大変、皆さん頑張っておられると感じています。認知症カフェに顔を出させていただきながら、陰ながら応援させていただきたいと思っています。

●話したい内容別に、3つのチームに分かれてグループワークをしました!

・Aグループ:「認知症の人、介護家族とのかかわりについて」

【マスクをつけることが難しい方の対応について】

  • つけてもらえる人にはつけてもらう。
  • 接触感染を防ぐために、手指消毒を行う。
  • ドアノブを消毒するなど周りができることから始める。

【介護サービスが中断してしまった場合の対応】

  • 主任ケアマネジャーに相談できる体制をとる。(地域のケアマネジャーがメーリングリストでつながっている。)
  • 横のつながり、顔の見えるつながりが重要。

・Bグループ:「家族会について」

【参加者減少への対応について】

  • 参加者数に合わせて、会の時間を短くしてみる。
  • 臨機応変な対応をしていく。

【開催場所について】

  • いままで屋内での開催だったものを、屋外に移すのも一つの手ではないか。

・Cグループ:「認知症カフェについて」

【オンラインの導入について】

  • オンラインと対面形式を使いながら、新しい形でやっていく。
  • 高齢者も運営スタッフもやってみないとうまくいくかどうかわからない。
  • トライ&エラーを繰り返していくしかない。

【新たな開催方法について】

  • 会自体の形を変えていく。今の時期であれば、落ち葉を集めて、やきいももいいかもしれない。
  • 新しい取り組みとして、オンライン旅行を行うことにした。他のカフェからでも参加ができるので、コラボしてみるのもいいかもしれない。

【オンライン情報交換会の開催スタッフから一言】

世田谷区にあるこのたくさんの認知症カフェや介護者の会・家族会、特に認知症カフェは存続の危機です。これを乗り越えるには、どうしたら良いのか、私たちも日々模索しています。今まで通りにはできない今、形や時間、場所が変わってしまうかもしれませんが、できるところから、継続できる形に変えていかなくてはいけないと感じています。
すぐには難しいかもしれませんが、まずは、オンライン情報交換会を通して、運営者同士が顔見知りになることから始められたらと思っています。この会に、参加できていない認知症カフェや介護者の会・家族会も多いです。ぜひ近くの地域で、再開できないところがあれば声をかけてみてください。そこから「つながり」が生まれることで、変わってくるのではないかと思っています。

今回ご参加いただいた皆様、お話をいただいた森さん、コスガさん、グループワークで「認知症の人、介護家族とのかかわり」のチームに入っていただいた、認知症介護指導者の市川さん、本当にありがとうございました。参加後のアンケートでは、「定期的にオンラインで情報交換会を開催してほしい。」との声が聞かれました。今後も企画していきたいと思いますので、ぜひご参加ください。日程は決まり次第お知らせいたします。皆様とお会いできるのを楽しみにしています。

(認知症在宅生活サポートセンター 井手、今村)

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