このパンフレットは、令和2年10月1日に施行した、世田谷区認知症とともに生きる希望条例を紹介するものです。 全部で8ページあり、音声コードは、1ページから7ページまでの各ページに、切り欠き加工をしている部分にあります。 1ページ この条例は、認知症とともに生きる本人も参加してつくりました。 おとなでも、こどもでも、誰もが無関係ではないのが、認知症です。ひとりひとりが、希望を持って自分らしく生き、認知症になってからも安心して暮らせるまちを、区民みんなで一緒につくっていくために、世田谷区はこの条例をつくりました。 2ページ このページでは、条例で大切にしている、よっつの視点を説明しています。 1番目、いままでの認知症の考え方を変える。 2番目、みんながこの先の「そなえ」をする。 3番目、ひとりひとりが希望を大切にしあい、ともに暮らすパートナーとして支えあう。 4番目、認知症とともに今を生きる本人の希望と、あたりまえに暮らせること(権利・人権)を一番大切にする。 3ページ このページでは「希望条例」とは、どんな条例なのかを説明しています。 第1条、条例の目的 わたしたちが認知症になっても、希望をもって社会の一員として暮らすことができるよう、基本となる考えかたを共有し、みんながともに生きることができる、世田谷をつくることです。 第2条、6号、その特徴 わたしたちが認知症になってからも、自分らしく元気にチャレンジすることができるよう、「私の希望ファイル」などをつうじて、みんなで話し合い、よりよく暮らす「そなえ」をしながら、前を向いて生きることができる社会を、考えつづけることです。 第3条、その基本的な考え方 どんな場所で暮らしていても、ひとりひとりの思いとちから、そして、権利・人権が大切にされ、安心して認知症になれる地域をつくっていきます。わたしたちが認知症であってもなくても、一緒に歩いてくれる人が必要です。おたがいをささえあう、みかた(パートナー)が、身近にいるまちが、世田谷です。 第4条、世田谷区が責任をもってすること 区は、この条例の目的を実現するために、いつでも、本人の立場にたち、本人や家族、そして区民と一緒に、希望のあるまちをつくっていきます。 「私の希望ファイル」とはどういうものか説明します。 世田谷区独自の取り組みです。認知症になってからも、自分らしく希望をもって暮らしていくために、認知症になる前から、自分の思いや希望、意思を繰り返し書いていく過程としての文書、記録です。 このファイルは、認知症とともに生きることへの理解を深め、ともに希望を実現していくための、共通の道具であり、その仕組みです。 4ページ このページでは、条例がどのようにつくられたのか説明しています。 条例をつくる検討委員会では、次のとおり、ほんにんたちが積極的に発言しました。 藤わらさんは、私は代弁者は必要としません。自分の言葉で話す、いまの自分をわかってもらいたい。と発言しました。 さきこさんは、認知症というと、軽い人から重い人までいるので、そこをどう理解してもらえるかが心配です。認知症は同じではない。と発言しました。 長谷部さんは、自分が認知症だということを理解するのに、2年から3年かかりました。そして、認知症だっていい、自分自身で生きていくんだと思って立ち上がりました。この会議に参加したことで、自分の認知症はこれからだな、と思っています。と発言しました。 藤わらさんは、「認知症とともに生きる」というところでは、こどもを含めて、ということを強調したいんです。こどもにも認知症について、学ぶ場をつくってほしい。とも発言しています。 また、ワークショップやパブリックコメント、本人交流会でも意見がたくさん出ました。意見を紹介します。 本人が自分で決めていくことが大切。 認知症を隠そうとすることが問題。 やはり本人の話や意見を聞くのがいちばん。 認知症になる前の「そなえ」が大事。 だれでも、いつかは認知症になる可能性がある。 「サポーター(支援者)」よりも「パートナー(ばん走者)」に。 このように、区で暮らす本人とさまざまな人たちの声が、この条例をつくりあげました。 また、このページの顔のイラストは、認知症とともに生きる人、S・さきこさんが描きました。 5ページ 認知症についての考え方を変えよう、というページです。 認知症は、おもに脳の記憶にかかわる機能が少しずつ低下し、日々の暮らしを、だんだんうまく送れなくなっていく状態です。 さまざまな病気が引き金になりますが、自分の体や心、そして環境や暮らし方によって、状態が大きく変化しやすい特徴があります。「認知症についての考え方」が状態を、大きく左右しているのです。 ひとりひとりが、認知症についての「古い考え方」を、「新しい考え方」に変えていくことが、これから先を、ともに、よりよく暮らしていくための第一歩です。 古い考え方とはどの様なことか説明します。 ・他人ごと、自分に関係ない。 ・わからない、できない。 ・変なことをいい、周囲が困る。配慮のない環境で困っている。 ・思いがない、まわりが決める。 ・地域のなかで暮らせない。隠す、地域から遠ざかる。 ・支えられるだけ。 ・あきらめ、ぼんやり、絶望的 以上のような考え方です。 次に、新しい考え方について説明します。 ・自分ごと、自分も関係ある。 ・わかる、できることがある。 ・本人なりのワケがある。 ・思いがある、自分が決める。 ・地域のなかで暮らしつづける。オープンにする、地域でともに。 ・ちからをいかして活躍、支えあう。 ・あきらめず、楽しく、希望を。 以上のような考え方です。 ひとりひとりが、考え方をチェンジしていくことが、これから先を、ともに、よりよく暮らしていくための第一歩です。 6ページ 世田谷区を希望のまちにするために、区とわたしたちができることを説明します。 区がすべきこと。 本人が声を発信したり社会参加できるようちからを入れ取り組みます。認知症とともに生きることに区民がもっと理解できるよう取り組みを進めていきます。私の希望ファイルで認知症への備えを進めていきます。希望をもって暮らしていくための話し合いや、活動の機会を地域のなかで増やしていきます。認知症の可能性のある人に、世田谷区認知症在宅生活サポートセンターなどをつうじて、すばやい対応と応援をしていきます。本人や家族を支える機会を増やしていきます。地域のネットワークをみんなでつくっていきます。そのための計画をつくり、希望のまちづくりを着実に進めていきます。 区民のわたしたちができること。 認知症や、ともに生きることについての理解やつながりを深めるために、講座やシンポジウム、地域のつどいや認知症カフェなどに参加しましょう。私の希望ファイルのとりくみに参加しましょう。本人の声を聞き、自分でこれからできそうなことを考えてみましょう。自分も本人のパートナーとして、一緒に楽しい体験を重ねていきましょう。認知症になってからも、自分の体験や思い、希望を伝え続け、自分らしく暮らしていきましょう。 地域団体ができること。 地域で本人と地域住民などが集い、話し合いながら、楽しく暮らしやすい地域を一緒につくります。お互い様の支えあいと、み守りを行います。 医療や介護、生活支援の関係者ができること。 本人が自宅、病院、施設など、どこで暮らしていても、ひとりひとりの希望と権利・人権を大切にします。本人が必要なときに、必要な支援をうけられるよう、関係者同士や地域とのつながりを深めます。本人と家族が自分たちに合った支援を選べるように、必要な情報をわかりやすく伝えます。私の希望ファイルを、医療・介護の現場と区民に伝え、いかしていくことを応援します。 事業者ができること。 従業員が本人への、理解を深めるための学びや話し合いの機会をつくりましょう。地域の人たちなどと協力しながら、本人に配慮した支えやサービスを育てていきます。 7ページ 暮らしや地域を一緒につくるための窓口が身近にあります、というページです。 こんなときは、次の窓口に相談してください。 家族や近所の人が認知症かもしれない。 認知症について学びたい。 最近自分の、もの忘れが気になってきた。 地域でのつながりや、活動の機会がほしい。 本人同士の交流会や認知症カフェに参加したい。 医療や介護、生活に役立つ情報を知りたい。 お住まいの地区のあんしんすこやかセンター、地域包括支援センターへご相談ください。次のページにあんしんすこやかセンターの一覧が記載されていますが、詳細については、介護予防・地域支援課、電話番号03−5432−2954へお問い合わせください。 または、世田谷区認知症在宅生活サポートセンター、電話番号 03-6379-4315までお願いします。ファクシミリは、03-6379-4316、所在地は、世田谷区松原6-37-10、世田谷区立保健医療福祉総合プラザ 1階です。 また、このページの顔のイラストは、認知症とともに生きる人、S・さきこさんが描きました。 以上でこのパンフレットの説明を終わります。 最後までご清聴いただき、ありがとうございました。