経堂地区「脳科学者・恩蔵絢子氏 講演会」開催報告
2月9日(日)に「脳科学者・恩蔵絢子氏講演会 ~脳科学からみた、認知症のお話~」を桜丘区民センター集会室兼体育室で開催しました。
世田谷区立桜丘図書館が主催し、経堂地区の認知症アクションチームメンバーで協力し、桜丘図書館40周年記念事業として行いました。

オープニングイベントにて、民生委員によるチェロの独奏がありました。日頃、演奏会活動も行っている方で、プロの音色を聴き、会場が穏やかな雰囲気になりました。


恩蔵先生の講演では、脳機能の仕組みから始まり、アルツハイマー型認知症についての解説、実母の介護体験のお話がありました。
講演内容(一部抜粋)
・認知症は怠惰や不健康な暮らしで発症するのではなく、誰もがなりうるものです。実母はピアノ講師をしながら、家事全般と家族のサポートをマルチに行う多忙な暮らしでしたが、65歳前後で認知症になりました。
・家族は本人の認知症を認められずミスを指摘したり、本人らしさが失われると思い込み、悲嘆に暮れてしまったこともありました。家族から度重なる指摘や叱責を受けると、本人は青い顔をして動けなくなってしまうことも。
・脳科学では人格をBIG5(開放性・誠実性・外向性・協調性・神経症)で分類しますが、その人らしさは科学では説明できません。科学は統計学的な平均値であり、個性やその人にしか備わっていないものは考慮されず、認知症でその人らしさが失われるか証明した人はいません。
・アルツハイマー型認知症が中等度以降であっても、小脳や大脳基底核の機能は良好に保たれています。毎日やっていたこと、技術は残っています。海馬の萎縮により、作業の経過や次の取組みが認識できないだけですが、その一部を見て何もできないと捉えがちです。
・診断後、本人の自我が脅かされる不安をカバーできる支援が重要です。家族には心配かけたくない、弱みを見せたくない人もいます。当事者同士だからこそ曝け出せるものがあります。当事者との出会いが生きる意欲に繋がります。

