
希望条例施行5周年・令和7年度認知症月間イベント『知って 触れて 感じて -認知症ってなんだろう?-』開催報告
令和7年9月20日(土)、世田谷区立保健医療福祉総合プラザにて、希望条例施行5周年・令和7年度認知症月間イベント『知って 触れて 感じて -認知症ってなんだろう?-』を開催しました。


当日は、プラザ1階フロア全体を活用し、認知症について“知って・触れて・感じる”ことができる多彩なブースが並びました。来場されたみなさんが、楽しみながら認知症への理解を深められる機会となりました。
シンポジウム「わたしらしく暮らしていく日々 ~認知症があっても変わらないこと~」

シンポジウムの冒頭では、世田谷区長よりビデオメッセージが届けられ、「認知症を自分ごととして捉え、誰もが安心して暮らせるまちづくりを区民のみなさんと進めていきたい」と力強い言葉が寄せられました。
その後、3名の認知症本人、中谷功さん、まるさん、たんちゃんが登壇し、日々の暮らしや、大切にしている思いを語ってくださいました。3名とも症状や生活環境が様々な中、印象的な共通点は「人とのつながり」が支えになっていることでした。その前向きな姿勢に会場からは大きな拍手が送られました。
また、認知症専門医である野澤宗央氏(世田谷区認知症在宅生活サポートセンター)より、3名のお話を受け、「目の前の“その人”を知ることが支援の始まり」というメッセージが伝えられ、社会的孤立を防ぐことの重要性が改めて共有されました。


録画配信 ▼ シンポジウム『わたしらしく暮らしていく日々 ~認知症があっても変わらないこと~』(45:00)
トークセッション「認知症とともに生きる私たち ~5年間のあゆみ~」
トークセッションでは、希望条例の本人検討委員としてもご尽力いただいた藤原郁子さんが登壇。
アクション講座の講師を務めるなど、地域での発信活動にも積極的に取り組んでおり、参加者1人ひとりが地域の一員としてできることを考える時間となりました。


藤原さんは、「大切にしているのは甘え上手になること」と語り、無理をせず、周囲に頼りながらつながりを保つことの大切さを伝えてくださいました。
ハワイアン喫茶
認知症本人交流会「楽しく語ろうつどいの会」とオレンジカフェせたOHAの共同企画では、昨年に続きハワイアン喫茶を催しました。お茶を飲みながら気ままにおしゃべりしたり、ハワイアンソングの合唱で盛り上がりました。
最後は長年フラダンスを嗜んできた認知症本人とともに、座ったまま楽しめるフラダンスを参加者みんなで一緒に踊りました。リズムに合わせて自然と笑顔が生まれ、会場はあたたかな空気に包まれました。


もの忘れ相談

医師やあんしんすこやかセンターの職員等の専門職に、もの忘れや認知症について相談できるブースにも多くの方が訪れました。VR機器を用いた記憶力や判断力のチェックができるコーナーも好評でした。
展示
●認知症とともに生きる展
認知症とともに生きる社会について理解を深められる4つのコーナーで構成された展示です。
『イントロダクション』では、「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」をふまえ、認知症を特別なものとせず、ともに生きる社会の姿を紹介しました。
『気づく』では、各地区で活動するアクションチームの取り組みや、認知症本人の声を紹介。来場者のみなさんが気になった声には、ハイビスカスのペーパーフラワーを貼り付けることで、展示がカラフルに彩られていきました。




『想像する』では、実際の冷蔵庫や電子レンジを配置した“工夫のある暮らし”のモデルルームを展示し、認知症本人から伺った日々のアイデアを再現しました。

最後は『向き合う』。展示を見て感じたことを花型の付箋に記入し、「希望の木」に貼り付けながら、来場者1人ひとりの想いを形にしました。
●世田谷区認知症とともに生きる希望条例 5年間のあゆみ
希望条例の誕生からこれまでの取り組みを振り返る年表を展示しました。
また、写真撮影ができるフォトスポットを設置し、希望条例に親しみを持ってもらえるブースとなりました。

●にんさぽギャラリー2025
イベント当日をはさんだ約3週間、認知症本人等がこれまでの経験や知識を活かして制作した作品を展示し、多くの方が足を止めてご覧くださいました。
※もっと詳しく⇒「にんさぽギャラリー2025」開催報告
参加者の声
- 認知症になっても自分らしく生きられると心強く思えて参加して良かった。
- ひとり暮らしをしてもこわくないと思わせられました。
- 誰でもなる可能性がある認知症について初めて学びました。まだ40代ですが、他人事ではない。
- 認知症本人の方々ともお話しできて楽しかったです。ありがとうございました。
今回のイベントを通して、認知症は特別な誰かのことではなく、地域に暮らすすべての人に関わるテーマであることを、改めて感じる時間となりました。
来場者の方々が、笑顔で語り合い、思いを共有する姿は、希望条例がめざす姿そのものでした。
世田谷区では、今後も認知症になってからも希望の持てる社会の実現に向けて、地域のみなさんと力を合わせながら、誰もが安心して暮らせるまちづくりを進めていきます。



