「認知症カフェ交流会」を開催しました!

「認知症カフェ交流会」を開催しました!

2020年7月30日

世田谷区には、認知症の人と家族が、地域の身近な場所で、医療・介護・福祉の専門職に相談しながら、地域の人々とつながることができる場である、認知症カフェが39ヶ所あります。(令和2年度7月現在)年に1回、認知症カフェ団体同士の交流を深める目的で、交流会を実施しています。

令和2年度認知症カフェ交流会を、7月8日(水)午後、成城ホールで開催しました。新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、参加者の人数を制限して、初めて、会場とオンラインをつないでの開催となりました!今回は、認知症カフェの運営者と同じように活動再開について悩みを抱えていた、介護者の会・家族会の運営者、あんしんすこやかセンターのスタッフにも声をかけて、多くの皆さんに参加していただきました。主催した世田谷区認知症在宅生活サポートセンター(以下、サポートセンター)も初めての試みで、前日まで準備を行い、緊張しながらの1時間30分でした。

皆さま、多くのご参加、ご協力をいただきまして、ありがとうございました。

参加人数は、オンライン23名、会場20名の合計43名でした。オンラインは、初めて利用する方も多く、事前に接続の練習をして、当日無事に接続できました。会場では、入室前に手洗い、体温測定、1つの机に1人座る、こまめな換気など感染予防対策にご協力いただきました。

会場では、マスクやフェイスシールドの展示コーナー、正しい手洗いを再確認できるように、手洗いチェッカー体験コーナーを設置しました。手洗いチェッカーでは、しっかり手洗いをしないと洗い残しがあることがわかり、体験された方は驚いていました。手洗いチェッカーは、世田谷保健所 生活保健課 食品衛生企画担当で無料で借りることができます。感染予防対策の一環として、認知症カフェや介護者の会・家族会の参加者に体験してもらうことで、手洗いの大切さを感じてもらえると良いかもしれませんね。

マスクとフェイスシールドの展示コーナー

ライトの反応する特殊なクリームを塗った後、普段通りに、手洗いをし、洗い残したところが、ブラックライトに反応して光ります。

緊急事態宣言が出された頃は、サポートセンターでも色々な事業が中止・延期になり、スタッフの出勤人数も制限していました。各認知症カフェと介護者の会・家族会の運営者に状況を確認したところ、「感染対策をしながらカフェを開催して大丈夫だろうか。」「やろうとしている感染対策で合っているのだろうか?」「もし、カフェの参加者から感染者が出てしまったら、どのように対応すれば良いのか分からない。」と今後の再開についての悩みが多く出てきました。
この質問を受け、医療の現場で行っている感染予防対策が、認知症カフェや介護者の会・家族会を開催する時に利用できるのではないか、情報を提供できるのではないかと考え、発熱者の対応にあたってきた、桜新町アーバンクリニック 看護師長 村上玲子から、「WITH コロナ」と題し、お話しをしました。

当日講義で使用したスライドです。再開へのヒントになればと、たくさんのメッセージを込めました。

①「居場所」への思い

②感染対策をどれだけしても、感染は封じ込めることはできない

今回は、途中で音声がうまくひろえずに、オンライン参加の方には、聞き取りにくいところがあり、大変ご迷惑をおかけいたしました。 今回の交流会において出された質問とそれに対する回答をまとめましたので、今後の活動の参考にして下さい。

【認知症カフェ交流会 Q&A】

Q1 飲食は原則避けた方がいいとは思いますが、カフェとして、ゆっくりコーヒーなどを飲みながら、話をすることが出来ないのは、カフェと言っていいのか悩んでいます。

A1 水分は、熱中症の心配もあるので、一人1本ペットボトルにする、専用のコップを使ってもらうなど、個別に摂取できるようにすると良いと思います。もし、お菓子などを食べる場合は個包装のものにして、中身に触れないようにして食べる、持ち帰りにするなどの対応で良いのではないかと考えます。その他、お菓子は用意せずに、飲み物だけの準備に代えるという方法もあります。また、今まで2時間の開催だったものを1時間にするなど、開催する時間で対応を変えてもいいのではないかと考えます。

確かに、コーヒーの香りや飲みながら過ごす時間が脳をリラックスさせ、楽しい時間が過ごせます。それが出来ないのなら、認知症カフェとしてどうなのかと考えてしまいますが、今はできるだけ感染のリスクが高くなることは避けて、運営スタッフも参加者も元気に認知症カフェで過ごすことが継続できるというのをやってみるところから始めてもいいと思います。

Q2 感染予防とは言うけれど、マスクを外してしまう、ペットボトルでは飲んでくれない、触ってくる、抱きついてくるなど、お願いしても繰り返し伝えても無理な方へどのように対応すればよいでしょうか。医療現場や看護小規模多機能での新型コロナウイルス感染症に関した認知症対応を知りたいです。

A2 認知症の方の状況が様々で、これをすれば絶対にうまくいくというのは難しいかもしれませんが、うまくいったエピソードをたくさん知っておくと対応の方法が増えてよいのではないかと思います。いくつか、うまくいったエピソードを紹介します。

《エピソード》

①訪問診療では、自宅への訪問をするので、マスクを着けていない方や着けていても鼻を出している方など様々です。気を付けていることは、会うたびに、同じお願いを関わるみんなが行うことです。Aさんは、軽度の認知症ですが、ヘルパーを利用しながら、一人暮らしを継続されています。マスクは着けていますが、いつも鼻が出ています。訪問診療でAさんに会うたびに、「マスクを鼻が隠れるようにつけてください。Aさんが感染させるかもしれませんし、感染してしまうかもしれませんから、着けましょう。」と話しました。関わっているヘルパーも同じことを伝え続けました。徐々にAさんは、鼻が隠れるようにマスクを着けてくれるようになりました。

②外来に来るBさんは、いつもマスクをしていません。マスクを着ける必要があることを、毎回話しますが、次に来たときは忘れてしまいます。ある日、安倍首相がマスクをしているのをテレビで見て、「国の一番偉い人もマスクをつけている。自分もつけないといけない。」と話すようになり、今は、マスクを着けて外来に来るようになりました。有名な人や顔見知りが勧めるのも効果があるのではないかと感じました。

Q3 東京の感染者数を見ると、開催すべきなのか、今後どうすればよいのか悩んでいます。新規の利用者の受け入れにも躊躇しています。

A3 運営スタッフの皆さんも、自分の生活や仕事を持ちながら、なんとかこの世田谷区にある居場所を再開できないかと考えて、本当に大変な状況だと思います。居場所が無くなることで、人と人との関わりが減り、孤立する人が増えてしまうことは、なんとか防ぎたいと思っています。この状況下で、私たちも「再開してください。」とは言えませんが、再開に向けた対策は一緒に考えていけると思っています。世田谷区の認知症カフェでも動きは様々で、再開はできなくても、まずは、スタッフだけオンラインでミーティングを行うことにしたカフェ、高齢者介護施設のため、入所者、利用者を優先し、新型コロナウイルス感染症の騒ぎが落ち着くまでは、しばらく認知症カフェはお休みにする、または認知症カフェの継続を見直すところなどです。

Q4 感染対策は行うが、開催して大丈夫でしょうか。行っている感染対策で合っているでしょうか。

A4 この感染対策を行えば100%安心という対策は残念ながらありません。できる限りの感染対策をしている運営スタッフと同じように、参加者にも共通の認識を持ってもらうことが大切であると考えます。医療現場で行っている感染対策を、どの程度認知症カフェへ落とし込めるかを本日のスライドの中から使えるものを参考にしてもらえたらと思います。疑問に思う感染対策については、本日お話しした村上、または認知症在宅生活サポートセンターのスタッフにご相談ください。また、高齢者介護保険施設向けですが、日本環境感染学会のホームページには、ガイドラインやQ&Aが掲載されています。そちらを参考にしてみてください。不明点は、日本環境感染学会では相談窓口を設置していますので、メールでお問合せすることも出来ます。

日本環境感染学会ホームページ : http://www.kankyokansen.org/

Q5 もし、参加者から感染者が出てしまったらどのように対応したらよいですか。

A5 スライドをご参照下さい。


参加者と連絡が取れるようにしておくことも必要になってきます。

Q6 現在開催している認知症カフェや家族会はありますか?

A6 令和2年7月13日現在、開催しているのは次の8ヶ所です。9月までには9ヶ所が開催を予定しています。今後、各認知症カフェ、介護者の会・家族会の開催情報は、このホームページの「支える地域の仲間たち」で随時お知らせいたします!

認知症カフェ:せたカフェpresents認知症カフェ、駒沢オレンジカフェ、認知症カフェくるみ、翠カフェ、オレンジカフェKIMAMA

介護者の会・家族会:ケアラーズカフェKIMAMA、認知症介護者のおしゃべり会

以上でQ&Aは終了です。

今後も認知症カフェ同士が意見交換しながら、これからの事を考えていけるように、オンラインで集まれる場を企画していきます。こちらは日程が決まり次第お知らせします。

最後に会場側とオンライン側で記念撮影!会場側は、オンライン参加者を全員写すと「こんなにたくさんの人が参加していたんだね!」と驚かれていました。まだまだ課題はありますが、オンラインを使ったり、内容を工夫したりして、世田谷区でがんばっている皆さんをつないでいける場を作っていきたいと思います。

オンライン参加の皆さんにも、ホームページに掲載する写真を撮ることにご賛同いただきました。いい写真です!

【認知症カフェ運営スタッフの皆さまへ】
今回は、情報共有を中心とした内容で、「もっと交流する機会が欲しい。」との声が聞かれました。今後、意見交換ができる場を企画していますので、ぜひご参加いただきたいと思っています。日程は決まり次第お知らせします。オンラインでの意見交換の場となりますので、参加が難しい方はご相談ください。
(世田谷区認知症在宅生活サポートセンター 井手)

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