高齢期をいきいきと過ごせるヒントを学べる講演会を開催しました!
10月15日、自分らしくいきいきとした高齢期を過ごしていくためのヒントを学ぶための講演会を開催しました!
この講演会は2部構成になっており、第1部は、認知症専門医の新川祐利先生の「高齢者のうつ病について~その特徴と早期発見について~」、第2部は、臨床心理士、公認心理師の宮本典子先生の「高齢期のライフサイクルとうつ予防」についての講演会となります。
ご参加いただけなかった方のために講演会を終えて、講師の先生にお話を伺いました。
第1部 高齢者のうつ病について ~その特徴と早期発見について~
講師:新川 祐利 氏(世田谷区認知症在宅生活サポートセンター 医師)
医学博士
精神科専門医
認知症専門医、認知症サポート医
老年精神医学会専門医・指導医
精神保健指定医
緩和ケア研修会修了
桜新町アーバンクリニック在宅医療部(非常勤医師)
世田谷区認知症在宅生活サポートセンター医師
2008年、兵庫医科大学を卒業後、兵庫医科大学病院、東京都立松沢病院、東京大学医学部附属病院などにおける精神科・内科診療に携わる。2010年より在宅医療に携わり、2013年より桜新町アーバンクリニック在宅医療部での精神科・認知症・内科診療に従事している。
●今回の講演会の内容
高齢者のうつ病の症状や特徴、その対応方法についてお話ししました。喪失体験や身体機能の低下などを契機にうつ病が生じることがあり、気持ちの落ち込みよりも倦怠感やめまいといった身体症状が目立つなどの特徴があります。地域でいきいき過ごすためには、うつ病の予防・早期発見が重要であり、ソーシャル・サポートが有用であることを皆さんにお伝えできたと思います。
*ソーシャルサポートとは「社会的関係の中でやりとりされる支援のこと」
●世田谷区の認知症の方たちと日常的に接している先生が、認知症の方と接する際に実際に気をつけていることは?
ご本人が安心して気持ちや困りごとを話していただけるように、落ち着いて会話ができる環境を整え、ご本人のペースに合わせてお話をするように心がけています。
●皆さんへのメッセージ
ソーシャル・サポートはどなたでも実践できます。地域の中で人と人の繋がりを大切にしていただき、ご自身だけでなく周りの人も楽しく健康的に過ごせるような社会を目指しましょう。
第2部 高齢期のライフサイクルとうつ予防
講師:宮本 典子 氏(臨床心理士・公認心理師)
専門領域:臨床心理学、老年心理学
聖心女子大学文学部歴史社会学科人間関係(現 人間関係学科)卒業
青梅慶友病院を母体とする慶成会老年学研究所(1998年開設2019年3月閉所)に20年在籍
その間、主に青梅慶友病院関連クリニック、研究所に置いて高齢者・介護者家族等への心理療法、カウンセリング、回想法グループ、心理検査等の臨床活動に従事する。行政からの依頼で地域において、介護者のための心理相談、高齢者のうつ予防のための回想法グループ、介護者ためのストレスケア講座も継続、実施している。また、高齢者ケア・認知症ケアに携わる専門職及び一般市民を対象とした研修等に長年携わる。
●今回の講演会の内容
高齢期になると様々な喪失体験を経験することになり、そのことはうつ病を発症するきっかけになることもあります。心を健やかに穏やかに過ごすためには、人との交流、栄養バランスのとれた食事、適度な運動が必要です。
その他、人に助けてもらう力を身につけましょう。自分だけでは解決できないこと、自分の力ではどうしようもないこと。家族や友人、地域や行政の方など人の力を借りながらの自立を考えることも大事です。
これまで困難をどのように乗り越えてきたかなど、自分の経験を振り返り自分の力を再確認することも大切です。
高齢になると失っていくものに目を向けがちですが、これまで培ってきた経験や知恵があなたやあなたの周りにいる方を助ける力になるのです。
●世田谷区の認知症の方たちと日常的に接している先生が、認知症の方と接する際に実際に気をつけていることは?
自然に普通に接することを大切にしています。その上でこちらが話し方や接し方にどのような工夫をすればスムーズにコミュニケーションがとれるかを考えます。
アンケートより参加者の声
・医学面・心理面のお話を聞いて、これからの暮らし方にヒントが得られた気がします。
・うつと認知症が複雑に絡み合っているので、ある程度の予備知識があると、多方面から物を考えられるのでいいヒントをいただいたと思います。ありがとうございました。
・コロナ対策安心しました。完璧でした。
・これからも気づきを感じさせてくれる講演会をよろしくお願いいたします。
・宮本先生の講演は、先生の体験も含めたとても納得のできる内容で参加してよかったです。また聞きたいです。
スタッフからの一言
講演会当日は、開場と同時に多くの方にお集まりいただき、区民の皆様の関心の高さを感じました。新型コロナウイルス感染症拡大防止策として、講演前の手洗いと手指消毒、マスクの着用にご協力いただきまして、スタッフ一同心より感謝申し上げます。
「ご自分の今後のために」あるいは「身近な人のことが心配で」と皆様様々な思いを抱きながら、熱心にご受講されていました。この講演が、少しでも皆様の日々の暮らしをいきいきと過ごすためのヒントとなりましたら幸いです。
(世田谷区認知症在宅生活サポートセンター 荒川)